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『Hello, Sister』(1933年・Fox)をめぐるディスカッション

開催概要

日時 2008年1月19日(土) 15:00~17:00
場所 戸山キャンパス31号館313教室
主催 映像研究コース
概要 1.スピーカーによるイントロダクション(15:00-15:20)
2.作品上映(15:25-16:25)
3.参加者によるディスカッション(16:30~17:00)
講師:小松弘(文学学術院教授)
スピーカー:後藤大輔(グローバルCOE客員研究助手・早稲田大学大学院博士課程)

詳細情報

【報告】
2008年1月19日、映像研究コースでは研究会「『Hello, Sister』(1933年・Fox)をめぐるディスカッション」が開催された。無声期のアメリカ映画史において特異な位置を占める映画監督、エーリッヒ・フォン・シュトロハイムに関する研究会はこれで三度目となるが、今回取り上げられた作品『Hello, Sister』はこれをもって彼が監督としてのキャリアを終えることとなった作品であり、当初は別のタイトル(『Walking Down Broadway』)で製作されていたが、製作中に様々なプロセスを経て結果的に彼は監督を更迭されてしまい、別タイトルでかつBピクチャーとして封切りされたといういわくつきの作品である。サウンド到来後、1930年代におけるアメリカ映画産業はそれまでに確立された基本構造をさらに発展させ、「グランド・デザイン」や「システムの天才」と形容されるような製作方式を確立していくのだが、このようなシステム変動は、無声期において名を馳せたある監督達には決定的な影響を与えることとなる。アメリカ映画産業の要請とかつて「天才」と称された映画監督シュトロハイムとの歴史的なすれ違いとも言えよう象徴的な事例として、従来鑑賞することが極めて困難だったこの作品を視聴し、かつ、多様な観点から論じ合うことは映画研究にとって大きな価値があることだろう。

まずイントロダクションとして、スピーカーである後藤大輔(グローバルCOE客員研究助手・早稲田大学博士課程)が、キャスト等この作品の基本的なデータが記載された資料を配布して、この作品の製作経緯やシノプシス、アメリカ映画史における1930年代とフォックス社の位置づけ等も含めて20分程度の解説を行った。約1時間の作品上映が行われた後、小松弘文学学術院教授と後藤大輔が中心となり、イントロダクションの内容及び配布資料を踏まえた上で、30分程度のディスカッションが行われた。1930年代におけるアメリカ映画史の歴史的特徴であるプロダクション・コードの問題や、サウンドの問題、そしてBピクチャーの意義、フォックス社において同時代に活躍した監督等の関係性から様々な発言が飛び交い、『Hello, Sister』の個別的事象としての意義のみならず、個別の監督がクレジットされていない映画作品に対する映画史的なアプローチに関する議論へも発展し、すこぶる有益な議論が行われた。

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