2008年度第2回オペラ研究会
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開催概要
日時 | 2008年5月20日(火) 18:15~20:30 |
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場所 | 早稲田キャンパス8号館307教室 |
主催 | 西洋演劇研究コース オペラ研究会 |
概要 | 発表者:大山 浩太 タイトル:ヴァーグナー『ニュルンベルクのマイスタージンガー』における排他的構造の研究 |
詳細情報
発表要旨:リヒャルト・ヴァーグナーの作品のなかでも人気のある『ニュルンベルクのマイスタージンガー』(以下『マイスタージンガー』)はハンス・ザックスの協力のもと、若いヴァルターとエーファが紆余曲折を経てめでたく結ばれる、というハッピーエンドの物語と捉えられることが多いが、本発表ではこれまで滑稽な脇役として解釈されてきたベックメッサーの立場から『マイスタージンガー』を考察する。
ベックメッサーという人物はヴァルターとエーファの恋愛を邪魔しようとする悪役としてのイメージが定着しており、作品では周囲の失笑を買うが、そもそも彼には徹底的に笑い者にされる理由が本当にあったのだろうか。本発表ではベックメッサーのことを笑い者にし、排除したと考えられる人物、つまり民衆のヒーローであり、寛容な人物であると一般には捉えられているハンス・ザックスの言動について分析し、今日なお人気のある作品として受容されている『マイスタージンガー』における「排他性」といったネガティヴな側面に光を当ててみたい。