演劇論講座 南米コロンビアの社会と演劇
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開催概要
日時 | 2008年11月5日(水) 18:00~21:00 | ||
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場所 | 早稲田キャンパス26号館(大隈記念タワー)地下1階 多目的講義室 | ||
主催 | 西洋演劇研究コース | ||
概要 | 「南米コロンビアの社会と演劇」 ラテンアメリカ演劇の中軸を担うコロンビアの劇団テアトロ・ラ・カンデラリア サンティアゴ・カルシア と パトリシア・アリサ二人の演出家による講演 講師:サンティアゴ・ガルシア (演出家、俳優、劇作家、演劇理論家) パトリシア・アリサ (演出家、俳優、劇作家、女性演劇活動家) 通訳:仮屋浩子 (明治大学教員) 吉川恵美子 (昭和女子大教員、テアトロ・ラ・カンデラリア招請実行委員会代表) テアトロ・ラ・カンデラリアその40年にわたる活動は激動するコロンビア社会と伴走し時代と社会に関与しフイールド調査に基づいた集団創作という「姿勢」を維持しながら作品を提示し続け同時に他の演劇グループの活動も、自らの役割として支え続けている。パトリシア・アリサは、南米における女性演劇のリーダーとして知られ、サンティアゴ・ガルシアは、集団創作について考え続けている。
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詳細情報
【講義内容】コロンビアは麻薬問題をはじめ多くの社会不安を抱えている。その社会で演劇を行うことの意味は何なのか。演劇人は何をなすべきか。劇団テアトロ・ラ・カンデラリアの主要メンバーであると同時に、社会派演劇を実践する小劇団を束ねる協会の長を務めるアリサ氏は、こうした状況のなかで実践してきたさまざまな試みを紹介する。その試みの柱のひとつは「集団創作」の手法であった。「集団創作」の実践者として、またその理論家として知られるガルシア氏は、今日の社会で「集団創作」が持つ意味を、その演出家に課せられる任を、そして、芸術家が世界とどう向き合い、創造作業を成し遂げるのかについて語る。
【講師紹介】
サンティアゴ・ガルシア Santiago Garcia
1928年生まれ。演出家・俳優・劇作家・演劇理論家。ボゴタの国立大学で建築を学ぶ。1955年、ボゴタ市にて日本人演出家佐野碩の演劇指導を受ける。コロンビアで初めての独立劇団「エル・ブオ」を設立し、スペインの影響を脱する演劇改革の牽引者となる。1966年芸術団体「文化の家」を設立。1968年 ボゴタ市ラ・カンデラリア地区に拠点劇場を獲得。劇団名を「テアトロ・ラ・カンデラリア」と改める。以後劇団の代表者としての活動を現在まで継続。同劇団は1960年代末から集団創作を開始。ガルシアは「集団創作」の技法を理論化し、講演・著作にも活動の枠を広げた。また、コロンビア演劇同業者協会設立にも参加し、長年に亙り指導的な立場を維持してきた。1970年代から、劇団は毎年、年3~6回の海外公演を実施。ラテンアメリカ地域の演劇祭およびヨーロッパ、アメリカ合衆国の演劇際にも参加。 ナンシー国際演劇祭(’71, ’73, ’77)。1980年代には劇団メンバーの個別創作劇の上演も加わるようになった。
パトリシア・アリサ Patricia Ariza
1946年生まれ。演出家・女優・劇作家。コロンビア演劇・社会運動推進者。コロンビア演劇同業者協会の創設に参加。演劇人であると同時にコロンビア左翼運動の指導的立場にある。主に劇団「テアトロ・ラ・カンデラリア」を拠点に演劇活動を行っているが、ボゴタ市やカリ市で女性演劇集団の指導に当たるほか、社会の周辺部に追いやられた困窮層の支援・意識改革にも取り組む。国際女性演劇ネットワーク〈マグダレナ・プロジェクト〉のコロンビア代表であるとともに、ラテンアメリカの多くの地域を結ぶ女性演劇運動を牽引する。隔年で「オータナティブ演劇祭」をボゴタ市で主催。劇団「テアトロ・ラ・カンデラリア」では演出も手がける。劇団結成40周年記念作品『アンティゴナ』はアリサ氏の作・演出による。2007年には社会貢献が認められ、オランダの「クラウス王子賞」を授与された。