2009年度第一回オペラ研究会
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開催概要
日時 | 2009年4月17日(金) 18:15~ |
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場所 | 早稲田キャンパス8号館4階406教室 |
主催 | 西洋演劇研究コース オペラ研究会 |
概要 | 題目: 1.「オペラ研究」の枠組みと今後の課題 ―― 音楽学-劇場史の観点から 2.オペラ観劇の「仕組み」 ―― 18世紀末から19世紀にかけてのナポリの諸劇 場のチケット代金、および観客を例として 発表者:山田 高誌 グローバルCOE研究員 日本学術振興会・海外特別研究員 イタリア国立バーリ音楽院付属音楽研究所 発表要旨: 本回は、年度初回の定例会となるため、関連する2つのテーマに基づく発表を予定する。 1.「オペラ研究」の枠組みと今後の課題 ―― 音楽学-劇場史の観点から 本発表では、とりわけ文献学を基礎とする音楽学によって率いられているイタリアの「オペラ研究」の領域において、現在、どのような研究が行われているのか、ロッシーニ財団の楽譜校訂事業、そして、ペルゴレージ-スポンティーニ財団によるペルゴレージを中心とする劇場史の領域での成果、さらには、それらとリンクした「復活上演事業」を紹介しながら、今後、日本でどのようなオペラ研究が可能となり、将来的なニーズとなり得るのか、ひとつの方向を提案する。 2.オペラ観劇の「仕組み」 ―― 18世紀末から19世紀にかけてのナポリの諸劇場のチケット代金、および観客を例として 本発表では、発表者がナポリ銀行歴史文書館での発掘調査を通して発見した「観客たち」の「振込み記録」から、1760年代から90年代のナポリの諸劇場の観劇料の時系列での変化を提示するが、その結果、民間劇場のチケット代金は、90年頃を境に宮廷劇場とほぼ同じ価格帯にまで高騰していたことを明らかにする。ここよりさらに、18世紀末の「オペラ・ブッファ」の全欧的なブームによるジャンルとしての「変化」は、観客層の変化と、それを戦略的に望んだ興行師の経営方針にあったのではないかと示しながら、観客層にみられるある共通点を提示し、むしろ興行師の背後にいた「出資方」の動向へとその視点を移す。また、観客がどのような「条件」でそれらチケットを「購入」していたのか、いくつかの事例を具体的に示しながら、そこで確認される「観劇の流儀」が、19世紀以降、どのように変化していくことになるのか、劇場見取り図や、公演ポスター、そして実際のチケットに記されたチケット代などを提示しつつ、その変化を追いたいと思う。 山田高誌 専門は、オペラ史、音楽学。早稲田大学教育学部社会科・社会科学専修卒業(社会科学、1999)。大阪大学大学院博士後期課程単位取得退学(音楽学、2006)。 イタリア国立バーリ音楽院上級ディプロマ取得(記譜史、2004)。(独)日本学術振興会特別研究員SPD(東京藝術大学)を経て、現在、同会海外特別研究員(イタリア国立バーリ音楽院付属音楽研究所“カーサ・ピッチンニ”)。イタリア国立「南イタリアの音楽文化発展に関する研究所(在ローマ)」共同研究員。 |