2009年度第5回 オペラ/音楽劇の総合的研究プロジェクト
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開催概要
日時 | 2009年10月6日(火) 18:15~20:30 |
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場所 | 早稲田キャンパス14号館804会議室 |
主催 | 西洋演劇研究コース オペラ研究会 |
概要 | 発表者:袴田麻祐子氏(昭和音楽大学舞台芸術センター嘱託研究員、GCOE研究員) 発表題目:大正末~昭和初期の異文化受容をめぐる諸相 オペラ・浅草・高木徳子 【発表要旨】 本発表では、今日「浅草オペラ」とまとめて呼び習わされている現象をめぐる交錯した思想や興行背景などを整理し、その中身を「オペラ」という言葉に囚われず切り分けることを試みる。 前提としてまず、本格オペラ受容の流れの中心人物である清水金太郎や原信子が浅草に出るまでの経緯と、彼らを浅草に呼び込んだ曾我廼家五九郎の興行方針を比較しながら、浅草オペラといわれるもののなかで重視されていた要素や、「オペラ受容」という文脈からは外さなければいけない要素等を検討する。 その後、清水や原以前、「浅草オペラ」と呼ばれるような当時の洋風舞台演芸流行の発端となったアメリカ帰りの「トゥダンサー」高木徳子の活動に焦点を移し、帝劇やローシーにはじまるオペラ受容史との相違点について考察する。経歴を辿ると人間関係のゴシップが際立ってしまう高木徳子だが、あえてそうした点には触れず、芸の原点とその評価のみに着目してみたい。 大正末~昭和初期にかけて、西洋文化を積極的に摂取し、それを浅草を舞台として大衆に向け広くアピールした人々の異文化体験や思想の内実は、実に多様であった。発表をとおしてその多様性の一端を描き、浅草オペラを一時代・ひとまとまりの閉じた現象と見るのではなく、より広い文脈と連結して考察すべき開かれた要素の集合として捉えることをめざす。 |