日英合同研究「Arts for All?(すべての人のためのアート?)」セミナー
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開催概要
日時 | 2010年1月18日(月)18:00~20:45 |
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場所 | 早稲田キャンパス26号館(大隈タワー)302教室 |
主催 | 芸術文化環境研究コース |
概要 | テーマ:「Arts for All? A case study enquiry into the policy and practice of extending participation in contemporary performing arts in Japan(全ての人のためのアート? 日本のコンテンポラリー・パフォーミング・アーツの参加拡大のための活動における、政策と実態の事例調査)」 司会:クリストファー・バナーマン(英国ミドルセックス大学教授、レッセン研究所長、2007年度および2008年度からのPMI2合同研究の責任者、同研究実施者) 稲田奈緒美(舞踊評論・研究。早稲田大学演劇博物館グローバルCOE研究員。これらのプロジェクトの研究実施者) ゲストスピーカー:吉本光宏 (ニッセイ基礎研究所 芸術文化プロジェクト室長) ※3名のプロフィールは「詳細・報告」にあります。 助成:ブリティッシュ・カウンシル「Prime Minister Initiative 2」 共催:英国ミドルセックス大学レッセン研究所 18:00~18:15 ・クリストファー・バナーマン(英国ミドルセックス大学教授、レッセン研究所長)による開会挨拶、日英合同研究の経緯についての説明 18:15~19:25 ・稲田奈緒美(グローバルCOE研究員)による、2008年度、2009年度に行った日英合同研究と、その前身となる2007年度の研究の経過報告と課題の提起 (休憩) 19:35~20:10 ・吉本光宏(ニッセイ基礎研究所 芸術文化プロジェクト室長)のコメント、スピーチ 20:10~20:45 ・セミナー参加者を交えてのディスカッション |
詳細情報
【開催報告】早稲田大学演劇博物館 グローバルCOEプログラム(演劇・映像の国際的教育研究拠点)では、英国ミドルセックス大学レッセン研究所との国際合同研究として、ブリティッシュ・カウンシルより「Prime Minister Initiative 2 」の助成を受けた、「Arts for All? A case study enquiry into the policy and practice of extending participation in contemporary performing arts in Japan(全ての人のためのアート?日本のコンテンポラリー・パフォーミング・アーツの参加拡大のための活動における、政策と実態の事例調査)」を、2008年度と2009年度に実施している。この研究では、ダンス、音楽、演劇による、地域、劇場、学校等でのワークショップ、教育プログラム等を企画、運営、サポートしている劇場、団体、NPOを対象として、事例調査と関連する日本の文化政策を調査している。
この研究の前身となったのは、2007年度に実施した日英合同研究「Extending Participation in Contemporary Dance in Japan(日本におけるコンテンポラリーダンスの参加拡大)」(助成:ブリティッシュ・アカデミー。研究者:クリストファー・バナーマン英国ミドルセックス大学教授、稲田奈緒美(舞踊評論・研究。個人として参加)ほか)であり、地域や学校で行われているダンス・ワークショップなどの活動(dance in community and education)を対象とし、ダンスアーティスト4名の活動プロセス、成果、課題等を、主にワークショップの観察とインタビューによって調査した。
今回のセミナーでは、2009年度末の日英合同研究終了に向けて、2007年度の研究を含めて調査結果を要約して発表し、日本における、舞台芸術による地域や教育のための活動に関する事例報告と、英国の事例や文化行政との比較を行い、現場で実践している様々な立場、ジャンルの方々とディスカッショを通じて今後の課題を抽出した。
【講師紹介】
○クリストファー・バナーマン Christopher Bannerman(英国ミドルセックス大学教授、及び、同大学にあるアーティストの創作プロセスを研究する機関ResCen(The Center for Research into Creation in the Performing Arts)所長)
http://www.rescen.net/home.html
カナダ国立バレエ団、ロンドン・コンテンポラリー・ダンス・シアターでダンサー、振付家、教育者として活躍したのち、ミドルセックス大学ダンス部門長になる。コミュニティダンスという言葉もなく、コンテンポラリーダンスという呼称も一般的ではなかった時代に、学校生徒や教員、地域への芸術教育活動を始めている。また、ダンスUKの設立にリーダーシップを発揮し、議長を務める。その他、アーツ・カウンシル・イングランドのダンス部門専門委員などを経て、現在、クリエイティヴ・パートナーシップ・ロンドン・ノース議長、ルーラル・リトリーツのファシリテーター、英国文化・メディア・スポーツ省ダンスフォーラム・メンバー、ローレンス・オリビエ賞審査員などを務めている。共編書に、「Navigating the Unknown: The creative process in contemporary performing arts 」(London: MU Press/ResCen Publications,2006)、共編著書に、「‘Proximity, Wisdom and Creativity’ in Creativity and Wisdom in Education」( eds A. Craft, G. Claxton, H.Gardner. California: Corwin Press, 2007) などがある。
また、2007年度からの合同研究に関連して開催したセミナー「Artists Open Doors: Japan/UK」(2008年9月、ロンドンにて開催。Co-Covenor:バナーマン教授、稲田氏)については、下記をご覧ください。
http://www.rescen.net/archive/AoD08/AoD08_timetble.html
○吉本光宏(ニッセイ基礎研究所 芸術文化プロジェクト室長)
1958年徳島県生。早稲田大学大学院修了(都市計画)後、社会工学研究所などを経て、1989年からニッセイ基礎研に所属。1997年セゾン文化財団の助成で米国コロンビア大学大学院留学。東京オペラシティ、世田谷パブリックシアター、いわき芸術文化交流館アリオス等の文化施設開発、東京国際フォーラムや電通新社屋のアートワーク事業などのコンサルタントとして活躍する他、文化政策や公立文化施設の運営・評価、アウトリーチ、創造都市、アートNPOなどの調査研究に取り組む。
現在、創造都市横浜推進委員会委員長、東京芸術文化評議会専門委員、文化経済学会理事、東京藝術大学大学院非常勤講師、NPO法人STスポット横浜副理事長、NPO法人アートNPOリンク理事、NPO法人アートネットワーク・ジャパン理事。主な著書は、「アート戦略都市-EU・日本のクリエイティブシティ」(監修)、「旦那と遊びと日本文化」(共著)など。
なお、吉本氏の論考、「再考、文化政策-拡大する役割と求められるパラダイムシフト―支援・保護される芸術文化からアートを起点としたイノベーションへ―」 を以下で読むことができます。
http://www.nli-research.co.jp/report/shoho/2008/vol51/syo0810b.pdf
○稲田奈緒美(舞踊評論、研究)
幼少よりバレエを習い、早稲田大学第一文学部卒業後は、社会人として働きながらバレエ、モダンダンスを続ける。1994年、早稲田大学大学院文学研究科修士課程に入り、舞踊史、舞踊理論の研究を始める。2002年、同大学院後期博士課程満期退学。現在、慶應義塾大学ほかで舞踊、身体文化論を講じ、体育実技でダンスを教えながら、舞踊の理論、実践、批評を結ぶ活動を行っている。早稲田大学演劇博物館グローバルCOE研究員。
著書に、『土方巽 絶後の身体』(2008、NHK出版。第14回AICT演劇評論賞受賞)。分担執筆に、『20世紀舞踊の作家と作品世界』(1999、遊戯社)、『バレエ・ギャラリー30』(2006、学習研究社)、『演劇学のキーワーズ』(2007、ぺりかん社)な
どがある。近年の論文に、「ロマンティック・バレエの優美に関する試論 ~身体技法から視覚の快楽へ」(2007、演劇研究センター紀要)、「1970年代初頭における暗黒舞踏の振付法の変化―型の出現と規律化された身体の解体」(印刷中、演劇映像学2009)他。
舞踊評論家としては、文化庁の芸術祭審査委員、本物の舞台芸術体験事業企画委員、芸術創造活動特別推進事業審査委員、独立行政法人・日本舞台芸術振興会 舞台芸術振興事業、及び、芸術文化振興基金運営委員、国際芸術交流支援事業・芸術団体人材育成支援事業協力者会議委員などを歴任し、選考と評価に携わっている。また、財団法人セゾン文化財団のアドヴァイザリーボードも務め、現代舞踊部門の選考、評価に携わっている。