シェイクスピア・ゼミ講演会
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開催概要
日時 | 2010年7月17日(土) 15:30~17:00 |
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場所 | 早稲田キャンパス26号館(大隈タワー)3階302会議室 |
主催 | 西洋演劇研究コース シェイクスピア・ゼミ |
概要 | 「笑いの再生:上演から見る道化の演じ方」 講師:阪本久美子(日本大学生物資源学部准教授) シェイクスピアの道化を現代の舞台で表象する場合、原語上演であっても翻訳上演であっても、 多くの問題と直面することになる。それは、作品が書かれてから400年以上が過ぎた今、言語 的にも文化的にも大きな隔たりができてしまっているからである。現代の役者たちがどのように してこの隔たりを乗越えて失われた笑いを回復していくのか検討していく。フィジカルシアターの アプローチに着目し、この難題を解決すべく舞台に臨んできたイギリスの役者も紹介をしていく。 そして、演劇における身体・肉体とテキストの関係を考察するひとつの手がかりが示されていく。 講師紹介: 研究テーマは身体論とジェンダー論からみたシェイクスピアの上演。1997年に英国バーミンガム大学 シェイクスピア研究所で博士号取得。1989年より名古屋商科大学外国語学部英語コミュニケーション学科 専任講師に着任し、2002年より現職に着任。 主な論文: “Shakespeare’s Villains in Japan,” Shakespeare in Asia: Contemporary Performance, eds. Dennis Kennedy and Yong Li Lan (Cambridge UP 2010)、”’Why Shakespeare in Japan?’ : Resituating the Japanese Shakespeare,” Shakespeare without English: the Reception of Shakespeare in Non-anglophone Countries, eds. Sukanta Chaudhuri and Chee Seng Lim (Pearson/Longman, 2006), 「娘にとっての『ハッピー・エンディング』?―結婚のディスコース、処女女王、『テンペスト』」、 『ゴルディオスの絆:結婚のディスコースとイギリス。ルネサンス演劇』楠明子・原英一 編 (松柏社、2002年)など。 |
詳細情報
【開催報告】シェイクスピア・ゼミが研究を推進してきた「テキストと上演」というテーマを、これまで以上に
直接的に検討する講演会となった。上演をテキストの身体的・肉体的具現化として捉えた
場合にどのような問題点と可能性があるのか、これまで活躍してきた役者を例にしつつ論じられた。
また、笑いという時代固有の要素を現代の舞台においてどのように再現していくことができるのかを
考察することで、文化的に異質なものとなったテキストと上演という、これまでとは違った角度から
テーマを捉えることが出来た。講演後の質疑応答の時間においても活発な議論が交わされた。