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映画史研究コース研究会

開催概要

日時 2010年7月28日(水) 16:00~18:00
場所 戸山キャンパス 31号館 310教室
主催 映像研究コース
概要 グローバルCOE映像コース(映画史)では、研究生のアクチュアルな研究、学会発表成果を研究会内で
報告してもらっている。本年度報告の第一回として、音(音楽・音響)と初期の映画映像のかかわりに関して
映画史的な方法論を駆使してのリサーチを行っている大傍正規氏に、研究の方法を日本映画に適用した
最新の研究成果を話してもらうことにする。引き続き、本年イタリアのボローニャ市で行われた「女性と映画」
国際学会の大会に参加された小川佐和子氏に、発表内容の概要と、参加された主要な研究者たちの
研究動向などについて語っていただく。(事業推進担当者・小松 弘)

詳細情報

1. 題目:「改変されたメロディー―日独合作映画『新しき土』の映画音楽に見る山田耕筰の理想と現実」

【内容】
明治新政府の樹立前後に開始された洋楽の導入以来、その普及に大きく貢献したのが、無声映画の伴奏音楽や、
1911年に開場された「帝国劇場」の存在である。山田耕筰は1914年に同劇場で日本最初の交響楽演奏会を
開催するなど、日本における交響楽運動の礎石を築いた人物であり、映画館「邦楽座」において無声映画伴奏を
担当した人物でもある。本発表では、こうした山田の経歴を映画史的にたどり直すと共に、ソヴィエトのトーキー理論を
通じて獲得された山田の映画音楽に対する理想と、日独合作映画『新しき土』(1937)の製作過程において山田が
直面した現実との軋轢を検討することを通じて、洋楽の推進者たる山田耕筰の日本映画音楽史における功績について
明らかにしたい。

【発表者】大傍正規
早稲田大学演劇博物館GCOE研究助手


2. 題目:一九一〇年代の演技形式-女形俳優と初期女優をめぐって-

【内容】
一九一〇年代は、ドイツではアスタ・ニールセン、フランスではジョゼット・アンドリオ、ロシアではヴェラ・カラーリ、
イタリアでは多くのディーヴァ女優たち、というように、女優が各国独自の演技形式を確立していった、重要な年代である。
そのなかで日本映画は中国映画と並び、女形俳優、すなわち男性が女性を演じるという、映画史においてはきわめて特殊な
慣習を持っていた。ただし、女形俳優は「女性性」をコード化した演技形式という点では、とりわけディーヴァ女優と共通する
面もある。
本発表では、日本映画における女形俳優を体系的に整理した上で、女形俳優から女優への演技形式の移行について、
身体演技から表情演技という点から述べていきたい。また後半では、先月発表者が参加してきた、今年で12年目を迎える
「第6回女性と無声映画」学会の報告を簡単に行う。

【発表者】小川佐和子
早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程演劇映像学コース
日本学術振興会特別研究員DC1

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