第4回バレエ研究会
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開催概要
日時 |
2010年11月18日(木) 18:30~20:30 |
場所 |
早稲田キャンパス26号館(大隈タワー)3階302会議室 |
主催 |
舞踊研究コース バレエ研究会 |
概要 |
題目 「テオフィル・ゴーチエによる舞踊評― ロマンティック・バレエにおける”パ”の可能性」
講師 小山聡子(慶應義塾大学非常勤講師)
<発表内容>
19世紀フランスの詩人テオフィル・ゴーチエが35年間にわたり当時の新聞に発表した舞踊評をもとに、
文学者ゴーチエが言葉を使わないバレエ芸術に何を見ていたのか、という問題を根幹にすえ、
ゴーチエによるバレエ観の真髄に迫ります。具体的には、ゴーチエと同時代の他の舞踊批評家たちの
舞踊評を比較し、ゴーチエによるバレエ観の斬新性を抽出します。また、ゴーチエが舞踊評の中で行った
バレエ芸術の本質についての考察が、ステファヌ・マラルメの舞踊論など後世の舞踊美学につながっていく
点についても言及します。
※入場無料、事前予約不要。ただし先着 30 名。 |
詳細情報
【開催報告】小山聡子氏をお迎えして、テオフィル・ゴーチエの舞踊評についてご講演いただいた。まず、ゴーチエ以前の18世紀後半から19世紀初頭のバレエの状況を様々な批評家達の批評からパントマイムによって物語を説明するものであり、それがバレエ・ダクシオンを提唱したジャン=ジョルジュ・ノヴェールの影響によるものであることを資料を示しながら紹介した。ゴーチエはそうした立場とは一線を画し、身体の美、ダンスの美そのものを称揚していたが、ロマンティック・バレエがそうした美を体現するとともに、"パ"が持つ新たな可能性を開示していた可能性を映像資料を交えながら明らかにした。ゴーチエがそれをいち早く見抜き、舞踊評において"パ"という動作を読み、その読みを書くという実践において開示していたことを資料において示し、ゴーチエの実践がマラルメに継承された可能性を示唆した。また他方でゴーチエが読み取った"パ"の可能性が、実際にプティパ、バランシンと実現されていったと示唆した。質疑応答ではゴーチエという人物から、バレエにおける象徴性の問題に至るまで活発な議論がかわされた。
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