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東洋演劇研究コース 現代中国演劇講座

開催概要

日時 2010年11月23日(火・祝) 13:30~18:30
場所 早稲田キャンパス6号館3階318室(レクチャールーム)
主催 東洋演劇研究コース
概要 講師:陶慶梅(中国社会科学院副研究員)、呂効平(南京大学文学院)、解玉峰(南京大学文学院)

詳細情報

【開催報告】
【現代中国演劇講座】は二部に分かれてそれぞれが中国当代の実験演劇(前衛演劇)と市場との関係や、当代中国演劇の創作の傾向、中国古典演劇の美学と構造の問題について講演が行われた。第一部では、中国社会科学院副研究員の陶慶梅氏は、1980年代以降の「改革開放」につれて出現した体制外の小規模の演劇上演(実験演劇)の発展について話し、牟森と孟京輝という二人の代表的な演出家の例を出しながら、当代中国演劇の上演、創作と市場の弁証的な関係を説いた。続いて第二部では、南京大学文学院教授の呂効平氏は、同じく当代(1980年代以降)の中国大陸の演劇創作の一つの傾向という題目で講演し、京劇創作作品(尚長栄による君臣関係を描く三部の作品)とその他の商人や農民を題材とした話劇作品を提起しながら、中国二十世紀の80年代から90年代にかけて中国演劇の創作は悲劇をやめて「道徳」を売り出すような正劇が盛行するようになった傾向を指摘した。呂氏は同じような状況は17世紀のフランス演劇にも発生したと説いた後、更に悲劇、喜劇と正劇の定義と意味について説明し盛んな討論が行われた。それはドイツ哲学者ヘーゲルの概念を引用したもので、「悲劇」と「喜劇」は人生の自由精神を表現するものとして、「正劇」は人生問題を解決できると信じ道徳理念と模範を立てようとする内容だという。最後に、南京大学文学院准教授の解玉峰氏は古典演劇の美学概念と芸術構成について講演し、中国古典演劇研究における理論の欠乏に対して美学と構造的な特徴から中国古典演劇を統合できる理論を試みるとのことから、「脚色制」(役柄制度)を中心に方法を構築しながら展開していく自らの考えと構想を講演した。そこで、アジア演劇の共通性から中国・西洋演劇の違いまで幅広い話題と質問が提起されて盛んな討論が行われた。何れの講演も充分に展開されて日中の学者による盛んな意見交流が行われたものとなった。

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