リン・ガラフォラ氏講演会 「バレエ・リュスと20世紀ダンス」
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開催概要
日時 | 2011年6月14日(火) 18:30~20:30 |
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場所 | 早稲田キャンパス26号館(大隈タワー)3階302会議室 |
主催 | 舞踊研究コース |
概要 | 講師:リン・ガラフォラ(Lynn Garafola) 司会・コメンテーター:鈴木晶(舞踊研究コース事業推進担当者) 通訳:角田美知代 入場無料・予約不要 内容紹介 早稲田大学演劇博物館グローバルCOE舞踊研究コースでは、この度リン・ガラフォラ氏をお招きして、6月14日、15日と二日間にわたり講演会を開催いたします。ガラフォラ氏はバレエ・リュス研究の第一人者としてご高名であるとともに、徹底した調査に基づくバレエ史全般、20世紀ダンス全般の研究においても世界の舞踊研究を牽引する研究者の一人です。是非とも足をお運びください。 (15日にも講演会「アメリカにおけるダンス研究」を開催いたします。) 講師プロフィール リン・ガラフォラ(Lynn Garafola)コロンビア大学(バーナード・カレッジ)教授。著書に『ディアギレフのバレエ・リュス』『20世紀ダンスの遺産』他、編著に『マリウス・プティパの日記』『人民の、人民による、人民のためのーー1930年代左翼ダンス』『ホセ・リモンーー未完の回想録』『バレエ・リュスとその世界』他。ニューヨーク歴史協会で「シティのために踊るーーニューヨーク・シティ・バレエの50年」を、ニューヨーク公共図書館舞台芸術分館(リンカーンセンター)で「ディアギレフの驚異の劇場」他を組織。SDHSの「舞踊史研究」叢書の編者。舞踊評論家としては「ダンス・マガジン」、「ネーション」「タイムズ文芸付録」などに執筆。 |
詳細情報
【開催報告】『バレエ・リュスと20世紀ダンス』と題して行った講演において、ガラフォラ氏はバレエ・リュスが20世紀ダンスの重要な二つの潮流の起源であることを明かした。つまり、ダンスとナショナル・アイデンティティとを結びつける潮流と、ダンスが同時代的性を表現する革新的な芸術実践の場となる潮流である。バレエ・リュス以前にはどのバレエ団も国籍に関わりなく芸術家やダンサーを登用した多国籍集団であったが、バレエ・リュスが国家的なアイデンティティを前面に出し、それが大成功を収めた結果、バレエとナショナル・アイデンティティの結びつきは確固としたものとなった。その結びつきの強さは、ダンスの形式としてはバレエでないカンパニーが国家と結びつくことで国立のバレエ団として次々と登場するという事態にまで発展した。他方で、バレエやダンスが同時代性の表現であり得ることを示したのもバレエ・リュスであり、その試みは様々な形で主に通常バレエとは考えられないダンスによって継承されたことを様々な具体例を挙げるとともに、それらのカンパニーとバレエとの無視できない技術的な結びつきを指摘することで、通常考えられている以上にバレエとダンスの関係が強いものであることを示した。ガラフォラ氏の広範な知識に基づく分析によって20世紀ダンス史研究の新たな展望を拓く講演会となった。