国際シンポジウム 映画と演劇におけるピクチャレスク
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開催概要
日時 | 2011年1月17日(月)~19日(水) |
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場所 | 早稲田大学小野記念講堂(小野梓記念館地下2階) |
主催 | 演劇博物館グローバルCOE |
概要 | 【企画主旨】 かつて18世紀に、あたかも前世紀に描かれた風景画を見るような眼差しで目新しい景色を眺める 人達がいた。そして、19世紀から20世紀にかけ、まるで一枚の絵画を描くように舞台やスクリーン上で 表現活動を行なう「演出家」が登場した。リュミエールの映画に印象派絵画と見紛うイメージが散見され、 初期のノンフィクション映画に風景画に触発されたショットが少なからず見られるのも、ピクチャレスク/ 絵画性(picturesque)の感覚を持ち合わせた演出家やカメラマンの眼差しが存在したからである。 本シンポジウムでは、演劇と映画をピクチャレスクという観点から捉え、映画のイメージにおける実際の 絵画からの借用の問題(例えば『アッカトーネ』におけるマンテーニャの絵画の図像、『ヴィリディアナ』 におけるレオナルドの「最後の晩餐」の図像)、演劇や映画における舞台装置と絵画との関係性 (例えば日本演劇と浮世絵との関係性)、身体とコスチューム、作家論、ジャンル(例えばトラヴェローグ) などの諸問題を取り扱う。 今回は演劇研究者ピエール・フランツ氏をはじめ、映画研究者スティーヴン・ボトモア氏、 カスパー・チューベア氏、リュック・ヴァンケーリ氏という四名の講師を海外からお招きし、 本拠点から映像研究コースの講師二名、日本演劇コースの講師一名も交え、 映画と演劇におけるピクチャレスクというテーマについて歴史的かつ理論的な問い直しを試みる。 【開催日時】 2011年1月17日(月)10:00~17:50、1月18日(火)10:00~17:50、1月19日(水)10:00~17:20 【参加予約】 シンポジウムの聴講は無料ですが、以下のウェブサイトより事前登録をしてください。 https://www.wnp.waseda.jp/portal/services/Application/module/Enq.php?mode=preview&enq_id=4dd52ec5f7daa0e0f871e5 |
詳細情報
【プログラム】■2011年1月17日(月)
10:00~10:10 開会挨拶
10:10~11:10 講演 リュック・ヴァンケーリ(リヨン第2大学准教授、映画理論)
「ピクチャレスク批判、あるいはその映画的残存」
(Critiques et survivances cinématographiques du pittoresque)
11:10~12:10 講演 児玉竜一 (早稲田大学文学学術院教授、日本演劇)
「絵画から書割・書割から映画美術」
<昼休み80分>
13:30~14:30 講演 小松弘 (早稲田大学文学学術院教授、映画史)
「映画の二次元・絵画の二次元」
14:30~15:30 講演 スティーヴン・ボトモア(映画作家、初期ドキュメンタリー映画研究)
「初期のノンフィクション映画におけるピクチャレスク―カメラマンの貢献」
(The picturesque in early non-fiction film: the cameraman’s contribution)
<休憩20分>
15:50~17:50 映画上映
■2011年1月18日(火)
10:00~11:00 講演 カスパー・チューベア(コペンハーゲン大学准教授、映画史)
「際立つ構成—デンマークの無声映画における視覚モデルとしての絵画の使用」
(Distinguished Compositions: The Use of Paintings as Visual Models in Danish Silent Films)
11:00~12:00 講演 ピエール・フランツ (パリ第4大学教授、演劇研究)
「18世紀における演劇と絵画モデル」
(Le théâtre et le modèle pictural au XVIIIe siècle)
<昼休み90分>
13:30~14:30 講演 武田潔 (早稲田大学文学学術院教授、映画理論)
「映画の中の絵画-光、持続、音、そして画家の身体」
14:30~15:30 プレゼンテーション 桑原博行(早稲田大学大学院文学研究科博士課程)
「描かれた歌舞伎―演劇博物館所蔵役者絵のデータベースと考証」
<休憩20分>
15:50~17:50 ディスカッション(17、18日の講演内容に基づいて)
登壇者:小松弘(司会)、リュック・ヴァンケーリ、スティーヴン・ボトモア、カスパー・チューベア、ピエール・フランツ
■2011年1月19日(水)
グローバルCOE研究生による発表
10:00~10:30 発表 佐野勝也(早稲田大学大学院文学研究科博士課程)
「藤田嗣治が手掛けた舞台美術―1924年バレエ・スエドワ公演『風変わりなコンクール』を中心に」
10:30~11:00 発表 宮本明子(早稲田大学大学院文学研究科博士課程)
「未完の絵画を撮ること―『マルメロの陽光』における絵画」
<休憩10分>
11:10~11:40 発表 小川佐和子(早稲田大学大学院文学研究科博士課程)
「エヴゲーニィ・バウエルにおけるセノグラフィー」
11:40~12:10 発表 志村三代子(早稲田大学非常勤講師)
「初期ハリウッド映画が描いた日本の風景 ―『Dragon Painter』(1919)を事例として―」
<昼休み80分>
13:30~14:00 発表 紙屋牧子(東京造形大学非常勤講師)
「戦時下の映画『ハナコサン』(1943年、マキノ正博)の分析」
14:00~14:30 発表 北原まり子(早稲田大学大学院文学研究科博士課程)
「初期バレエ・リュス作品(1909-13)における画家による舞台美術と舞踊の関係」
14:30~15:00 発表 マートライ・ティタニラ(早稲田大学大学院博士課程修了)
「映画での劇的なピクチャレスク:黒澤明『乱』をめぐって Pictureque Theatrical Images into Film: Kurosawa Akira's Ran」(使用言語:英)
<休憩20分>
15:20~17:20 ディスカッション(研究生の発表内容に基づいて)
登壇者:小松弘(司会)、リュック・ヴァンケーリ、スティーヴン・ボトモア、カスパー・チューベア、ピエール・フランツ